腕時計は投資として成り立つのか?
現物資産として腕時計投資の可能性について考えてみたいと思います。まず単に値上がり益を狙うだけであれば、株式などの金融商品を扱う方が効率も良く保管や売却にも困りません。機械式の腕時計は精密機械ですので、使わなくても放置しておくと内部の潤滑油が固まってしまったり皮脂から錆が付いてしまったりメンテナンスに手間もお金も掛かります。時計の事を良く理解し、相応の労力を使っても良いと思える人にこそお勧めできます。それゆえに投機商品として安易に手出しされず、価格が乱れない利点もあると思います。
具体的な腕時計の値動きを見てみます。以下はROLEX社のダイバーズモデル116610LVの値動きです。
2年間で約50%も値上がりしています。これは新品の値段なので、新品で買って中古で売る場合その分の値下がりを考慮しなければなりませんが…ROLEXのこのモデルは非常に人気が有る為、美品であれば10万円程度の値下がりで収まると思います。
何故こんなに値上がりするのでしょうか?ひとつはROLEX社のブランドイメージ戦略でしょう。値下げも値引きもしない姿勢、有名人を使った広告、そして供給量を抑え高品質な物作りを続けている事です。
またこの値動き自体が更なる価格上昇を生んでいるのかも知れません。値上がりするから買う、そして値上がりするから持っている人は売りに出さないので需給バランスが非常に良いのです。
どのブランドでも良いのか?
例としてROLEX社のダイバーズモデルをあげましたが、これはかなり特異な例となります。腕時計に2年で50%も値上がりするようなモデルは他にそう無いのが現状です。
腕時計には世界三大メーカと呼ばれる時計ブランドが有りますが、そこにROLEXは入っていません。雲上ブランドとも呼ばれるのはこの三社です。
- Patek Philippe(パテック・フィリップ)
- Audemars Piguet(オーデマ・ピゲ)
- Vacheron Constantin(ヴァシュロン・コンスタンタン)
三社とも聞いた事がない方もみえるのではないでしょうか。高品質の時計を製造していますが、世間の知名度はそこまで高くありません。その中の1社、ヴァシュロン・コンスタンタンの象徴的モデル、オーヴァーシーズの値動きはこのようになっています。
2年間の間に10万円程度上がったり下がったりしていますが、ROLEXのように大きく値上がりはしていません。値上がりはしないまでも大きな値崩れもしないので、このような時計は普段使いながらも長い時間掛けて値上がりを待つか、いざという時は現金に換えられる価値の保存媒体として使うのが良いでしょう。
「使える」のが一番の利点
腕時計投資で一番の利点は普段の生活の中で「使える」事です。毎日使うものですから、例え100万円の時計を買ったとして売却価格が50万円でも、10年間使えば1日辺り130円程度の出費です。半分になったとしてもその程度で、もし値上がりするような事があればとても嬉しいですよね。私は複数本腕時計を所有し、毎日交替で使いながらオークションにも出品しています。(取り扱いには勿論気をつけています。オークションの説明にも普段使いしていると明記しています。)ゴールドなどの現物資産も良いですが、金塊では眺めるぐらいしか使い道が有りません…利回りを生まない現物資産ですが、生活の中で使うことで間接的に利回りを得られるのが腕時計投資の魅力だと思っています。