創薬バイオベンチャー銘柄について

創薬バイオベンチャー銘柄について
新しい薬を「創る」

日本の株式市場には様々な業種の企業が上場していますが、私が好んで投資先としているのがこの創薬ベンチャー関連銘柄です。正直決してお勧め出来るものでは有りませんが…とても面白味は有ると思っています。どのような特徴があるのか、少しご紹介します。

創薬ベンチャーの事業内容

簡単に言えば新しい薬を創るのを目的としています。薬は人の健康や命にまで関わる事ですから、新しい病気を治す薬は常に求められています。そして優秀な薬であれば1剤で何千億という売上が見込めますし、不況だからと言って極端に売上が落ち込んだりもしません。創薬とは、成功すれば非常に「儲かる」事業です。

ドラックストアに行けば第一三共、アステラス製薬、エーザイなど見慣れた製薬企業の薬が並んでいますが、創薬ベンチャーの名前をそのように表立って目にすることは有りません。薬の流通や販売には多額のお金や人員が必要なので、大企業にしか出来ません。創薬ベンチャーは企業規模が小さいため「薬になるかもしれない物質」を探し出し、販売出来る大企業に売り込むことを目的としています。

ハイリスク&ハイリターン

創薬ベンチャーを一言で表すとまさにこれです。薬とは無限に近い化合物の中から、体の中で特定の働きをして良い効果を及ぼす物質を探すところから始まります。この方法にも様々な手法がありその企業の特徴となっているのですが、ランダムに化合物を合成してその特徴を調べていくものが一番多く使われています。これについては私も投資を始めるまで知らなかったので、意外だなあと思いました…もっと緻密に設計されて創られていると思いきや、総当りで効果のある物を探しているなんて。

ランダムに合成した化合物から、ある程度効果のありそうなものを絞り込んだら今度は動物を使ってその性質をテストします。マウスや猿に投与してみて、期待した効果が得られるか、また副作用が出ないかをチェックします。そこをパスしたら今度は実際に人間に投与して安全性、有効性を確認しなければなりません。これを「治験」と言いますがここに非常にお金がかかります。治験は安全性と有効性を確認するために3段階に分かれており、それぞれ1段階目で安全性を、2段階目で効果を、3段階目で服用期間や服用量などを変えて想定外の事象が起こらないかチェックされます。この3段階を終えるのに時間として5~8年程、金額はなんと500億円は掛かると言われています。

それだけの期間とお金が掛かるのになんと成功確率は18%しかありません…。投資としては非常に分が悪いと言えますね。創薬ベンチャーが開発を進めるのは治験の第二段階ぐらいまでが主流です。第三段階は多額の費用が掛かるため、第二段階のデータを開示してその費用を負担できる大手企業へ売り渡す交渉をすることになります。とにかく時間が掛かる+お金も掛かる=失敗したらやり直しが効かないという非常に大きなリスクを抱えています。

それなのに何故創薬へ投資するのか?

株式会社の原則だと思うからです。薬の開発には多額の費用も掛かり成功確率も高くありません…なので多数の投資家から資金を集め、負担を分散し、成功した時には企業と投資家で利益を分け合う、これが世の中の為になる投資だと考えています。そしてまだ治療法の無い病気に対する薬ができれば、患者さんもその家族も救うことができ、高額な薬に変わり低価格で効果の高い薬剤が出来れば医療制度の負担も下がります。

確度の高い利益を優先すれば恐らく投資先には成り得ません。しかし投資家として社会に貢献できるのがこの分野だと考えています。少子高齢化が進む日本で世界に通用する産業に育っていく可能性も高いと考えています。

投資先の見極めが重要

この分野はとにかく赤字企業ばかりです。創薬に成功するまで売上を得ることが難しく、開発には多額の費用が掛かるためです。決算書を読んでも企業の価値を測ることは完全に不可能です。その企業がどんな技術を持っているのか?開発中の薬にはどんなものがあって、治験はどの段階なのか?もし発売されたとしたらどのぐらい売れそうか?企業の見極めには株式投資以外にも医薬業界に対する深い見識が必要となります。

そのように事業内容が難解な為、半分詐欺のように株式市場から資金だけを集めて有望な開発を行っていない企業も残念ながら存在します。今の株式市場には有効な規制が無いため、投資家を煽るようなニュースを出しては新株を発行し市場から際限なく資金を集めていく企業を見極め投資先としないことが大切です。

具体的な企業への言及は別エントリとしたいと思います。

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